Mirage Auto Design

サムネイル画像はBNR32とは全く関係無い3Dプリント中のもの。
「Anubis RX-7」と言って、かれこれ20年近く毎年のModifyを担当させて頂いている車のヘッドライトパーツをプリントしている。
この車の事を書くと 本一冊分くらいになりそうなので、それは後日小出しにするとして、3Dプリントに21時間も掛かる暇潰しとしてBNR32の話題を。
 
そのBNR32は販売用ベース車両として仕入れた後、実は仕上げるまで色々あった車なのだけど、今は内外装・Power系・電装系他、まずは良いレヴェルになっている。
一般に販売情報を公開したところ、遠く宮崎県からもお問い合わせを頂き、今月末にご来社される事になった。
遠方のお客様だからと言って特別扱いする訳では無いし、恐らくはアチコチのBNR32をご覧になる内の一社なのだろうけど、多少「丁寧な気持ち」にはなる。
そんな気分で ガレージ代わりに塗装ブースを占領しているBNR32をマジマジ眺めていると、ドアの剥き出しスピーカーがどうしても気になる。
なんだかバラシ作業の途中みたいでみっともないと思っていたのだけど、他のBNR32オーナーの画像を見ると同様な状態で乗っておられる人が多い。
まぁ、走行性能が最優先の車なので、そのあたりは「気にしない」と言う感じなのかも知れないし、
もしかしたら、この方がクリアな音を聴けるから??
社内的にも「それならそのままで良いのでは??」とのご意見だったながら・・・・ 自分で乗るなら放置出来ないビジュアル。
手っ取り早い解決策として純正グリルの中古を検索したものの、意外にレアだったりカッコ悪かったりで、新品の入手可否を確認する気にもなれず。
っと言う事で「カーボンの単板でもカットしてくっつければOkだろう」作戦に落ち着く。
 
…… で、この仕事も長年になるが、「予想通り簡単に終わった」と言う記憶は殆ど無い。
用意した肉厚のカーボン単板をカットすべく型紙を採ろうとしたら、全然平面ではないので単板は無用の長物だ。
かと言って、ペラペラの単板を湾曲させて貼るのでは質感が全然出ない・・・・・
当然の事として↑の 「それならそのままで良いのでは??」と言う声が頭をよぎる。
「コレをやったからと言って、その分、高く売れる訳じゃないし・・・」  「もしかしたら購入者はこのままの方が好みかも知れないし・・・」etc
 
しかしながら、「クリエイティヴな仕事だけに集中したい」と言う想いで会社経営から退いた自分が居て、
「お前、また、そのパターンかよ」と、軽蔑の声も聞こえてくる。
問題はこの作業が営業的に意味があるか否かよりも、自分が改善されるか否かにあるように思える。
 
思い直して二次元形状のグリル製作に取り組む気にはなったものの、やはりマスターベーションは宜しくない。
通常はマスターモデル製作→量産型製作→カーボン製品製作→クリア塗装と言う工程になり、
同じ製品を沢山生産する事も出来る訳だけど、今回はOne & Only なので極力ハショらなければならない。
っと言う事で、如何に速く・安く・綺麗にフィニッシュさせるべく、トレースした取付面のRを発泡スチロールとボール紙で「簡易型」を作る。
そしてアルミホイルで離型処理をしてからGFRPを貼って、ベース製作は短時間で完了↓。
 
そしてフィニッシュはアルミネットとカーボン調シートで仕上げてこんな感じ↓。
「わざわざ作る程の出来栄えじゃないですね・・・」  っとだけは言ってはならない。
 
仕事に対しての自分の姿勢は多少ながら改善されたものの、ふと思ったのは・・・
これをCADで設計し、3Dプリントしたら自分の実働時間は恐らく10分の1以下だっただろうと言う事。
そう思いながら横を見ると、あと20時間は働き続けるであろう安物3Dプリンターが健気に頑張っている。